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山形地方裁判所米沢支部 平成3年(モ)155号 決定

主文

本件免責を許可しない。

理由

1  一件記録及び本件破産事件(当裁判所平成三年(フ)第三八号)の記録によれば、破産者は、株式会社ジャックス山形支店ほか一二名の債権者に対し、計約六四四万円余の債務を負っていることが認められるところ、破産者本人審尋の結果によれば、これらはいずれも破産者がいわゆるブランド物の服に凝り、クレジットシステムを利用して計約六〇着の洋服を、日常生活に必要な範囲を越えて購入したことに起因する債務あるいはその月々の支払いに窮していわゆるサラ金から現金を借入れたことによる債務であることが明らかであって、とすれば、破産者は、浪費行為により過大な債務を負担するに至ったものというべく、破産法三六六条の九の一号、三七五条一号に該当するといわなければならない。

2  なお、弁護士木村敏雄作成の上申書添付の事情聴取書中には、これらの洋服の購入は、破産者が以前勤めていたスナック等の仕事の関係で、どうしても必要であったかのような記載もあるが、破産者は破産宣告前の審尋に際しては、これらの洋服を購入したのは、ブランド物の服に凝ったことと、そのうち服屋となかよくなり、買わざるを得なくなったものである旨述べ、右のような仕事上の必要性については全く話していなかったものであり、とすれば果たして真実そのような仕事の関係で洋服購入の必要性があったか否か疑問であるし、また仮に多少はその必要性があったとしても、破産者が購入した程の洋服が仕事上どうしても必要だったとは必ずしも認めがたいのであるから、結局、この点も前記の認定、判断を覆すに足るものではない。

3  したがって、本件については免責不許可事由があり、その程度等に照らせば、裁量により免責を許可するのも相当ではないから、免責を不許可とすることとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 及川憲夫)

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